共依存|依存者を”助けている側”に見られる問題点
自分に自信がない・人間関係が苦手・トラウマ・アダルトチルドレンからの克服~心理カウンセリングルーム(オンライン/大阪)の心理カウンセラー中田です。
今回の記事は、”共依存|依存者を”助けている側”に見られる問題点” です。
共依存とは
共依存とは、ひと言で言うと「お互いに(不健全に、過剰に)依存し合っていて、(自覚はなくとも)弊害が生じている関係」状態と言えるでしょう。
パートナーシップ、恋愛、夫婦、親子などの関係でもよく見られます。
ちなみに、人と人の関係で、お互いが時に助けて、時に助けられてという良いバランスで健全に助け合うことや関わり合うことは、もちろん良いことであり必要なことです。
子育てや、先生と生徒の関係などでは、”一時的に”とか”部分的に”、頼るとかある意味依存する時期があったりするのも、けして悪いことではないでしょう。”一時的に”とか”部分的に”しっかり依存したらいいという場合ももちろん多々あります。
共依存とは、そういう通常の関わり合いとは異なる関係性です。
共依存は、多くの場合、自分たちが共依存に陥っているということは、なかなか自覚できません。
特に、依存者を”助けている側”は、「良い関係である」、「私は良いことをしてる」といったの認識の場合も多々あります。
弊害が起きていることもはっきり把握していない場合も多々あります。
共依存|アルコール依存症の夫と 妻の関係
共依存の例として、一般的によく挙げられる分かりやすい例は、やはり「アルコール依存症の夫と 支える妻の関係」の話ではないでしょうか。
アルコール依存症の夫を、何かしらの形で支えたり面倒を見続ける妻の話です。
妻は、夫のアルコール依存症にとても困らされていて、夫のアルコール依存をなんとか辞めさせようとして、とてつもない苦労や様々な努力をし続ける。夫の面倒を見続けているとも言えます。
一見、夫に困らされて大変そうな妻。一見、とても我慢して頑張っている妻。そして、悩みながらも、夫を見捨てない良い人、心の広い人のように思われたりする。
とても理不尽な状況でも、その妻はずっと、夫の面倒を見続ける。。夫のアルコール依存症が良くなるように、自分を犠牲にしてまで、夫のことに協力し続けるんですね。
そして、助ける側(ここでは妻)がいるために、依存する側(ここではアルコール依存症の夫)も、依存し続けることができて、その関係が続くのです。妻が助け続けることで、夫のアルコール依存症が改善しないという現象が起こると言われています。
共依存|助けている側(依存されている側)の妻
上記の例で続きを話します。
アルコール依存症の夫に、妻が困らされていて、妻が理不尽に「依存されていて、耐えている」状況とも見えます。
妻は、夫を助けようと、頑張り続けていて、「いい妻」「いい人」「頑張り屋」「誠実」など、良い評価をする人も居るでしょう。
逆に、例えば妻がすぐに「離婚します」としたら、周囲の人達は妻のことを「冷たい人」「人の心がない」「自分勝手」「自己中」などなど、様々な批判をしそうな感じもしますね。。
なのですが、”共依存”という観点から見ると、
アルコール依存症などで困らせてくる夫のことを、「嫌だと思いながら、文句を言いながらも、耐え続けている」「嫌だと思いながらも、自分を犠牲にして、助けようと頑張っている」妻側にも、実はテーマ(問題)がある、と言われています。
共依存|なぜ我慢し続けるのか、助け続けるのか
上記のような理不尽な状況なのに、妻は、なぜ嫌なのに我慢し続けるのでしょうか、嫌なのに助け続けるのでしょうか。離婚するなどの対策を取らないのでしょうか?
それは、助けている側の妻側にも、メリットがあるからだと一般的には言われています。
メリットとは、ここは人それぞれに異なる部分になります。ケースバイケースにはなります。
ただ、一般的によくあり得るメリットの代表的なものは、
嫌でも助け続けて一緒に居れば、将来の生活の不安が少ない、今のままの方がまだ楽だと感じている、目の前にやることがあるので孤独ではない(気がする)などや
もう少し深い部分のメンタル的な所では、困っている人を助けている、優しい人、いい妻などの他者評価、または自己評価などがとても大きなメリットになっている場合も多々あります。
元々、自己肯定感がとても低かった所に、相手を助けている、面倒を見ていることで、自己肯定感が上がった感覚を持てるというメリットがあったりもするとも言われています。
*今回の記事は、アルコール依存症の夫と支える妻という事例でお話していますが、これだけに限らず、他にも、子育て、その他恋愛・パートナーシップ、先生と生徒の関係などでも、「(一見)困っている人と、(一見)それを助けている人」の上記の構図が成立している関係は多々あります。
共依存の状態を続けると
ただし、助けている側の妻にもやがて我慢の限界が訪れます。多くの場合。
本当はとても我慢を重ねてきているからです。とても大きなストレスがたまっていきます。
または、そのまま半分無自覚のままにずっと我慢し続けて疲弊したまま、そのまま人生をずっと続ける人も居るでしょう。大きく変えることより、この状態を耐え続ける方が楽というのは、人としてある意味当たり前の感覚ですから。恒常性・ホメオスタシスと言われたりしますよね。
共依存は、ある意味、居場所がある。心地悪いけど、安定の居場所がある。
優しい良い人、問題解決できる有能な人などの評価を得られるし。他者からも自分からも。
または、「どんな困難があっても乗り越えて、素晴らしい夫婦像」「理想の夫婦像」に見られるかもしれないし。
そもそもその場所から去ろうとしても、人を見捨てるなんて、そんなひどいことできないし。。等々、心が強く引っ張られるのです。
共依存になりやすい人の心の中
共依存で「助ける側」になりやすい人は、以下のような傾向があると言われます。
・自己肯定感が低い
他者を助けることで、自分の存在価値を上げようとしている、自己肯定感をあげようとしているという心理的な動きがあると、言われます。
これは、もちろん意図的にそうしているわけではなくて、無意識にです。幼少期からの心の動きの習慣・癖のようなものです。潜在意識レベルのことです。
幼少期からの環境によって、身についた心の動きなので、そうしている自分が悪いなどと自分を責めないで下さいね。
それから、以下の面が強い人も多いようです。
・心の深い所に寂しさや孤独を抱えている。
・自己存在価値に関してのテーマを抱えている。
それから、こういう傾向を持つ人もいらっしゃいますね。
・心優しい人。
・弱い人やできない人を助けてあげたい。手伝ってあげたい。
・自分より他人に意識が向きやすい。
・敏感でよく気がつく人。
・気が利く。優秀でできる人。
・自分より他人優先。他人軸。
・自分を大切にすることを知らない、その感覚が分からない。
・自分の気持ちが分からない
これらも、もちろん意図的にそうしているわけではなくて、ほとんど無意識にです。幼少期からの心の動きの習慣・癖のようなものです。潜在意識レベルのことです。
これらも同じく、幼少期からの環境によって、身についた心の動きなので、そうしている自分が悪いなどと自分を責めないで下さいね。
共依存から抜け出すためには
他人を助けようとする気持ちが強くて、共依存に陥りやすい人が、その状態から抜け出すには、まずは「自分を大切にすること」「自分軸を取り戻すこと」がとてもとても重要だと感じています。
「自分のことを大切にする」感覚がしっかり腑に落ちたら、現状の自分への見え方が変わってくると思います。
どれほど自分を犠牲にして我慢して、他人のことをやろうとしているのかに、気づくことは大切です。
どれほど、自分のことを大切にしてこなかったのか、分かると思います。
「自分のことを大切にする」をしっかりつかめていない人は、とても多いなと感じます。
そして、さらには、「自分を大切にすること」「自分軸を取り戻すこと」ができなくなった根本原因である、「自己肯定感、自信のなさ、自己重要感」「自己存在価値」などについて改善していくこともとても重要です。
多くの場合は、幼少期からほとんど無意識にその感覚を持ち続けているので、幼少期も含めて扱うようなカウンセリングを受けると解消が早くなると思います。
また、「心の奥深くに寂しさや孤独感を抱えている」場合は、その感覚を癒やすといいです。これも幼少期からの感覚である場合がほとんどなので、カウンセリング/セラピーが最も有効な方法だと思います。(それ以外の方法はないのでは?と私個人的には思っているぐらいです。)
*こちらのカウンセリングでも幼少期を含めて扱っています。